汨ツ天使はどうして存在するのか


@堕天使はどうして存在するのか
神の意思か、それとも反逆か
「神の意志を人間に伝えるべき存在である天使からなぜ脱落者を出したのか」中世の神学者はこのテーマに対していくつかの回答を用意した。また、天使たちそのものが悪意の存在であるとするグノーシス派とよばれる思想運動もある。
A1
神の影の顔
人間にとって眩いばかりの”光”であり、”愛の権化”へと神自身が変貌してしまうと、もともと神がもっていた破壊的性格はどこへいってしまうのか。もちろん、それは消えてなくなりはしない。むしろ、神の恩寵や愛の価値観を高めるためにも、それに対立する存在が一層必要となってくる。障害が大きければ、それを克服する喜びは増すものであり、常に両者の緊張関係を意識することで人は自らの態度を決定しやすくなるからだ。これは言わば神の光と影、コインの両面である。旧約聖書では単なる対立者であった「ハ・サタン」が、悪の権化そのものであるサタンへと変化するのは、言わば当然の成り行きなのかもしれない。神がその勢力を広げれば広げるほど、その影であるサタンも力をつけるのである。だからこそ、サタンは大天使ミカエルの双子の兄弟として瓜二つの姿形をもっているのだ。つまり、サタンは神の意志にもとづいて創造された影の顔、堕天使であるという解釈がなされるのである。
A2
奢りと自由意志
ある時、神はあまたの天使たちの中で最高の知恵と力を備えた大天使ルシファー(Lucifer)を作った。そして、どの天使よりも重宝し、深く愛したという。彼は”曙の明星”という異名をもち、天界では一際光り輝く存在だった。ところが、絶頂にいた彼の心に影がよぎった。あろうことか、玉座に神に変わって座ろうとしたのだ。これを見た神は、ただちにルシファーを地獄へ突き落とした。奢りによる罪である。
ルシファー程極端でなくても、創造の天使、平和の天使、人間創造に反対した天使、アダムにひざまづくことに反抗した天使など神の意志に反論を唱えて堕天した天使たちも少なくない。
そのほか、神が自由意志をもつ天使たちを作ったという説もある。天使は神の恩寵をたっぷり受けた存在なので、たいていは脱落の道へは進まないものなのだ。しかし何を思ったのか、神はこれらの天使とは違った、言わば亜種ともいうべき天使の一群を作ったという。 恩寵を控えめにして、その代わりに”自由意志”を持たせたのだ。このころ、既に神に反乱を企てる堕天使たちが勢力を強めつつあった。そして、彼らの多くが神に刃向かう側に立つことを望んだという。
A3
欲望による堕天
「エノク書」における”グリゴリ(Grigori:神の子)”の記述に以下のようなものがある。彼らはアダムの娘たちに欲情を覚え、地上に降りて彼女たちと交わり、多くの混血児を産ませた。しかも、グリゴリたちは人間たちに神から禁じられた天界の知識を惜しみ無く教授したという。こうして神の怒りに触れた彼らは天使専用の獄舎に幽閉されたものの、次々にそこから抜け出して堕天使たちの軍勢に参加したと記されている。
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